登山?ハイキング?トレッキング?何が違うの?
日本は稀に見るほど山の数が多い国です。その数は何と16000座以上にもなります。日本はまさしく登山大国で自然がとても豊富なのです。一口に山に登ると言っても、ジャンルや装備や準備や時間や労力などは多岐に渡ります。冬山のアルプスから里山を歩くことも同じ山歩きです。山を歩くスタイルは大きく分けて三つのジャンルに分かれております。混合をしてしまいがちですが、ここでは初心者の方の為に登山、ハイキング、トレッキングの違いや区別の仕方についてご紹介をします。
1)登山

八ヶ岳~天狗岳
歩行ルートは必ず最終目的地を『山頂』としているが登山です。一般的に日帰りで行くことはなく、山小屋やテント泊などの宿泊を伴うことが殆どです。国内ではアルプス級の3000メートル級の山々を指すことが多いですが、一般的にアルプスクラスの山でなくても、標高差(出発地点から山頂までの高度差)が1000メートル以上あるものが多いのが特徴です。また山頂エリアは過去の噴火により花崗岩で形成されているために殆ど土がありません。
例えば、富士山を登ることは必ず剣が峰という山頂を経由するので登山に当てはまります。登山には必ず山頂という最終目的地があります。三つの分類の中でも様々な準備を最も必要とされるのが登山です。下界と異なり自然環境の変化が著しいのです。(参照:富士山と東京の気温差)。工程も長く一日に6時間以上歩くこともあるので、基本的に日帰りで行くのではなく山小屋もしくはテントにて宿泊をするのが一般的です。距離も標高差もあり工程も長いために事前にきちんとした計画が必要となります。

乗鞍のご来光
2)ハイキング

浅間山の新緑のモミジ回廊
自然の風景や歴史的背景のあるコースを楽しみながら歩くことを言います。一般的にハイキングは山頂を経由することが多いですが、必ずしも山頂を経由する必要はないのです。
例えば、低山での○○山や〇〇岳に登ることもハイキングです。森の中を歩くことや渓谷歩き、自然遊歩道や山のみでなく沿岸エリアを歩くこともハイキングに含まれます。歩く範囲がとても広く比較的標高が低い自然環境下で歩くことをハイキングと呼びます。登山とは異なり日帰りでの山行がほとんどです。特別な体力は必要なく日常の散歩やウォーキングの延長線上にあるので、山歩きの中では最も初心者の方がアプローチがし易いのがハイキングです。近年では健康維持を目的として山歩きをする方が多いです。

鋸山から
これまでに山歩きをしたことのない方にオススメなのはこのハイキングです。
3)トレッキング

上高地~明神岳を望む
トレッキングは山頂を最終目的としません。高原や渓谷や湿地帯や湖など山頂の手前の緩やかなコースを歩くことをメインとしております。登山と比べると高度差は少なく比較的緩やかなコースを歩きます。必ずしも山頂を経由しないのでイメージとしては下から山々の展望を眺める感じです。
アプローチとしては人工的な移動手段(車やバスやリフトやゴンドラやロープウェイなど)を用いることも多く、スタート地点から高地(1500Mから2000M以上)を歩くことになります。また日本の名峰のアプローチコースとして扱われることも多く、遠方にそびえる日本の名峰の景観はとても美しいです。これからアルプスクラスの登山をしたい方にとっては山の魅力の醍醐味が垣間見えることが出来ます。登山と比べると傾斜が緩いので初心者の方にはオススメです。またトレッキングは四季の中で最も美しい雪山スノーシューコースなどでも扱わられる。

室堂からの立山
コース | 山頂 | 標高 | 装備 | 経験 |
登山 | ◎ | 2000M以上 | ◎ | ◎ |
トレッキング | △ | 1500M~2000M前後 | ◎ | 〇 |
ハイキング | △ | 1500M以内 | 〇 | × |
【まとめ】登山とトレッキングとハイキングの違い
今回は山を歩くスタイルには三つの名称があるということをご紹介させて頂きました。特に迷い易いのは、山頂を経由するかどうか?標高はどうか?ということではないでしょうか。
ハイキング(低地エリア)はや宿泊が伴うトレッキング(高地エリア)は山頂を経由してもしなくても、どちらでも良いということでした。それに対して登山(高地エリア)は必ず山頂を経由するとだけ覚えておきましょう。
今回の三つの山歩きのスタイルを踏まえた上で、次回は山歩きの基本中の基本である、『山の気温はどうして下がるの?』ということに焦点を当てます。標高により環境(気温、気圧、酸素濃度等)が変わります。それらに伴い体力や装備や知識など準備が変わって来ます。高地エリアと低地エリアでの気温差が生まれるメカニズムについて、またご説明をさせて頂ければ嬉しい限りです。最後までお読み頂きどうも有り難うございました。また皆さんとお会い出来るのを楽しみにしております。