第四章:初心者向き:登山&ハイキングの服装とは?
夏から秋に掛けてアルプス級の登山に行かれる方を対象とした『山の服装』についてご紹介をします。これから始めようとする初心者ハイカーさんにとって服装選びはとても大切です。今回は下界の衣類とは異なり、『山専用』の服装の違いに付いて焦点を当ててみたいと思います。
【目次】
1. アルプス登山ハイカー為の服装とは?
2. 身体を守るレイアリング・システムとは?
3. ベースレイヤー|汗冷え対処の見方
4. ミッドレイヤー|体温調整をカギを握る
5. アウターレイヤー|雨と風防ぐために
6. ボトムス|パンツやハーフパンツやスカート類
7. アルプス登山の服装を揃える際の注意点とは?
*このブログをご覧頂く前にに『山の寒さの原因となるものや気温の違い』をご理解をしておくと、服装の選択術の目安に深みが出ます。前章で学んだことをまだお読みになられていない方は事前に下記の内容を知っておくと理解が深まります。
第一章:山の気温が下がるのはなぜ?
第二章:山の服装選ぶ前に必要なことは?標高差と気温差気温差の比較
第三章:日帰りハイキングの為の服装の選択術とは?
登山メーカーさんの衣類とは?アルプス登山への服装選びのコツ
登山メーカーさんの衣類製造のコンセプト
1.アルプス登山用の服装の役割とは?
初めて登山の衣類を購入するために登山専門店に行くと、高価なものだと思う方も多いですね。登山の衣類は下界のものよりは高価に設定されております。
その主な理由としては、通年で見ても平均気温が20℃下がるということを踏まえたうえで、『①暑さ・②寒さ・③風・④濡れのある自然環境下で、ハイカーが快適に安全登山が出来る』ように作られているからです。当然、各メーカーさんは製品を市場に出品する前に寒冷下でのテストを行っております。特にウェア類は下界と異なり『山中では着替えが許されない』ということを前提に製品の設計がされているのです。
2.身体を守るレイアリング・ システムとは?
いわゆる『重ね着』のことです。このレイアリング・システムは三つ(①ベースレイヤー ②ミッドレイヤー ③アウター)に分かれています。山では気象の変化(気温や風など)や体の発熱状況に応じて、ウェアリングの調整が必要となります。長時間にも及ぶ登山では状況に応じた衣類の脱着をし『快適な状態』を保つことが大切です。
モンベルさんより
3.ベースレイヤー|汗冷え対処の味方
直接肌に触れる衣類です。コーディネートの基本となるウェアです。肌に一番近い素材なので、素早く汗を吸水して、水分を拡散して肌をドライな状態へと保つのが主な役割です。雨天時や発汗量の増加に伴い、濡れに対して身体を冷やすのを防いでくれます。主に素材として使われるのは吸湿性・速乾性に優れている『化繊100%』のものです。(*化学繊維の中でもダントツの『速乾性』があります。)
<ベースレイヤーの素材とは?>
- 化繊100%(主にポリエステル)
速乾性は最もある便利な素材です。サラサラとした生地感覚で吸汗速乾もあり色や形などのバリエーションが豊富で年間を通して最も人気のある素材です。
ウール100%
特に冬場や晩秋に向いている素材です。以前のものは厚手でチクチクするイメージがありましたが、現在のウール素材はメリノウールと呼ばれる素材を使っているのでしなやかで肌触りも良いです。また消臭効果もあります。
ウール&化繊
ウールの持つソフトで良質な肌触りと保温性、防臭性 吸湿発散をしてくれるのと、ポリエステル(化繊)が持っている速乾性を備えてくれるハイブリッド型の素材です。
- 綿製&化繊
以前は綿製のものは山では一度濡れるとかわきにくいのでNGとなっておりましたが、化繊を加えることにより速乾性が増すので使われるようになりました。アルプス登山ではなく日帰りハイキングにオススメの素材です。
最も使われているベースレイヤーは化繊となります。化繊の特徴としては、生地の縫製の仕方は直接肌に触れることもありかなり細かい糸で織り込まれております。この細かい糸は二つの役割をしています。一つは繊維質がきめ細かいので、水分を拡散し易く、身体の中にある水分を外に出すように『水の通り道』が設計されています。もう一つは細かい糸と糸の隙間に無数の層が生まれ、そこに沢山の空気が入り込み、空気に触れている総面積が増えるので早く乾きやすいのです。
速乾のメカニズム
<ベースレイヤー>Tシャツ・下着類・靴下・手袋・タイツ・帽子など(*広義の意味で肌に直接触れるもの)
モンベルさんの女性用ベースレイヤー
4.ミッドレイヤー|体温調整のカギを握る
中間着としてミッドレイヤーは主にフリースや長袖のシャツなどに使われます。登山道に入るまでに道のりや休憩中に体温を冷やさないようにするために来ます。
4-1 ミッドレイヤーの種類
ミッドレイヤーは主にフリース・化繊中綿・ダウンに分かれます。
4-2 ミッドレイヤーの主な役割とは?
ベースレイヤーで出来た『産熱』を保持しつつ、濡れを防ぐために『蒸気』を外に出すのが主な役割です。中間着を制するものはウェアリングを制するとも言われております。
フリースは繊維に厚みがあるので着ている時の『扱う気温に幅がある』のが特徴です。特に下界と比べて気温差のある高地エリアでは、静止状態では保温効果が高く身体は温まり易いですが、行動時には気温の上昇や運動に伴い熱くなり易いです。適切な体温保持の為には、気象条件や発熱状況を踏まえた上で、小まめな衣類の脱着に心掛けて下さい。脱着がし易いように、携帯化が出来てコンパクトになるものを選ぶことも大切です。
4-3ミッドレイヤーとアウターの機能の比較表
濡れ・速乾性・保温性・防風性にて機能の違いを標記してみました。
5.アウターレイヤー|雨と風を防ぐために
アウターは最も身体から離れた衣類です。特に防水性、防風性に優れているので、雨・風・雪などから身体を守ってくれます。アウターは別名:シェル(殻)とも言われています。アウターには二種類あります。ゴアテックスなど保温効果は少ないものの防風や防雨に優れているものと、もう一つは厚手の中綿素材で保温効果が高いものとに分かれます。気温や風速や運動量による発熱量などを考慮したのちに使い分けをして下さい。
一般的にアウターはゴアテックスなどの雨具で使われることが多いです。ゴアテックスが標記されている衣類や登山靴などは、防水透湿素材というものです。簡単に言うと、雨風の体内への侵入を防ぎ、体内で発生をした発汗などは外部に逃がしてくれるのです。外気温よりも濡れは25倍のスピードで身体を冷やすと言われております。一度身体が濡れると低体温症を引き起こし易いので天候にかかわらず雨具は必ず持参するようにして下さい。
<アウター>:雨具(GORE-TEXは必須)・ソフトシェル・ダウンなど
6.ボトムス|パンツやハーフパンツやスカート類
登山中には長時間のサポートをしてくれるのがボトムスです。素材は吸汗性&速乾性がある化繊を中心に選んで下さい。一般的にボトムスは男女共にパンツ系が主流となっていますが、2009年の山ガールブームの到来によりスカートを履く方も増えました。どちらを選択するにしても『ポリエステル(=通年)やナイロン(主に冬期なども)化学繊維で出来た製品』もの身に着けて下さい。
最近のパンツは立体裁断加工がされているものもあります。膝周りなどは動きやすいものを選んで下さい。長時間の山歩きはちょっとした服装の不具合を感じるとストレスが生じてしまうので注意が必要です。素材は伸縮性のあるものとなりますが、これはポリエステルやナイロン100%だけは成り立ちません。実は『ポリウレタン』という素材が化学繊維の中に数パーセント入っています。生地の中にゴムのような成分が入っていて伸び縮みをする役割をします。この素材はとても動きやすく、上り下りの際にもパンツ内で膝のお皿が擦れるのを遮ってくれます。
モンベルさんのパンツの伸縮性のあるパンツ
7.アルプス登山の服装を揃える際の注意点とは?
アルプス登山級の服装となりますと登山用品専門店のみでのご購入ができます。初心者ハイカーさんが山のお店に行った時には普段着と比べると高いと感じる方も多いのではないでしょうか?アルプス登山への服装や装備がい価なものとなる原因は、全ての山の衣類は寒さと暑さへの気温差への対応がされております。全て寒冷地でのテストをしているからです。
山の服装をご購入する際に気を付けて欲しいのは・・・
ご自分の行きたい山を明確にすること |
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春・夏・秋・冬の季節を選ぶこと |
店員さんや経験者の方に相談すること |
初心者の方まずは登山用品の店員さんもしくは経験者の方に『行きたい山と季節』を聞いてみることから初めてみるのは如何でしょうか?店員さんに聞いたり、ご自分で調べたり、試着をしてみたりし、『山の衣類に対しての関心を持つ』ことから始めてみるのも良いかもしれません。その過程において、ご自身のとって安全で快適な『山の服』と出会えることが出来ればウレシイです♪それでは今シーズンも素敵なアルプス登山を安全に楽しみましょう(^-^)/