低山エリアではよく使わているユニクロさんのフリース
第三章:🔰初心者向け:日帰りハイキングの服装とは?
これから始めようとする初心者ハイカーさんにとって服装選びはとても大切です。基本的に山の服装は高価なものです。自分に向いているかどうかも分らない方も多いかと。これまでにハイキングをしたことがない方にオススメの衣類のメーカーさんや選択の仕方や衣類の着方などに焦点を当てます。今回は日帰りハイキング編です。
先に山の寒さや気温の違いなどを理解をしておくと、服装の選択術の目安になります。前章で学んだことをまだお読みになられていない方は事前に下記の内容を知っておくと理解が深まります。
第一章:山の気温が下がるのはなぜ?
第二章:山の服装選ぶ前に必要なことは?標高差と気温差気温差の比較
第四章:初心者ハイカーさんの為のアルプス登山の服装とは?
1.初心者ハイカーの服装:グレードCD日帰り編(標高1000M以内)
山のメーカーではないユニクロさんやワークマンさんなどがアウトドアウェアとして使われることが多いですね。比較的お買い求めしやすいので、多くのハイカーが山で着ているのを見かけます。当団体でも山ガールブームの時には、全身ユニクロさんで揃えた『ユニクラー』という言葉が流行りました笑
これまでにハイキングのご経験の無い方であれば、自分に向いているのかどうか分からないけれどもやってみたい・・・ということで低山でのはじめの一歩としての『山の服装選び』には良いかもしれません。
<主な登山業界以外の衣類のメーカー>
1)ユニクロ |
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2)ワークマン |
3)しまむら |
4)その他スポーツ衣類 |
ただ、高地エリアでの対応をしていないので、日帰りの低山エリア(標高1000M位まで)ならばご対応は可能かと思われます(悪天時を除く)。
前回は三カ所(東京・筑波山・富士山)の通年における平均気温の比較をしました。筑波山の気温差が初心者の方が日帰りハイキングをする上でひとつの目安となりますので、『山の服装選び』へのご参考にして下さい。目安となるのは東京都内と筑波山等との比較で年間でいうと平均約5℃の気温差があります。まだご覧になられていない方はまず始めに以下のサイトをご覧になって頂くと『山の気温差の原因』が分かります。
2.レイアリング・システム:重ね着
山では気温や風などの気象的な変化があるので、快適なハイキングをする為に衣類の脱着が容易に出来る『重ね着』が主流です。重ね着は三つのスタイルに分かれていて、それをレイアリング・システムと言います。このように容易に脱着が出来るメリットは・・・
☆身体を冷やさない
☆身体が熱くさせない
☆体力を温存すること
上記が体力を温存する為に大切なことなのです。
1)ベースレイヤー:Tシャツ・靴下・下着類・タイツ・帽子・手袋
ハイキングの服装としては肌に直接触れる衣類です。皮膚の表面から発生する汗や蒸気や雨などの『水』を吸い上げます。山中は寒暖の差があるので最も気を使う衣類です。身体を冷やさないようにするためにも『濡れ』に対してのケアーが大切です。
綿製品は汗や雨などの水分を吸い上げた後に、乾きにくいので身体を冷やしてしまいます。
通年で着る衣類なので冬場は温かく保温性の高いもの・夏場は涼しくて通気性の良いものを選ぶようにして下さい。速乾性のあるポリエステル100%の素材を選ぶのが山では得策です。
2)ミッドレイヤー:長袖のシャツ・フリース・ダウン
中間着となります。ベースレイヤーの上に着るものです。山中では身体の暑さと寒さの『振り幅』があります。歩いていると暑くなり、休憩時だと丁度良いことが多いです。山中にて脱着をし易く保温性と通気性の良いものを選んで下さい。
3)アウター:雨具・ソフトシェル・ウインドブレーカー
身体から一番離れた衣類です。雨と風を凌ぐための防護服として役割があります。保温効果は中間着と比べるとあまりないですが、防風性や防水性などに優れているので、一つあると体温調整がしやすく重宝します。初心者さんで誤解をされている方が多いですが、下界が晴れでも山間部は雨が降ったり・風が吹いたりすることが多いですので天候にかかわらず、雨具は必ずご持参下さい。
山で雨が降り易い理由とは?
平野部においては、風は地上を吹き抜けますが、山間部では風は山の傾斜に沿って進み、やがて上昇気流が発生します。この冷たく・湿った空気が山頂エリアに集まると雲が発生します。山間部では下界よりも雲が多く発生し易いので雨が降り易くなります。
標高が高い山頂には風と雲が発生し易いので雨が降りやすい
4)パンツ&スカート
基本的にハイキングは足を使って歩くスポーツです。登り降りの際に動きやすい『伸縮性』のあるものが最適です。伸縮性がないものだと、大きな動きが必要な段差などではストレッチ性がないので動き辛いです。歩いている時に膝小僧に摩擦を生じやすくなってしまいます。またジーンズなどは乾きにくく、伸縮性もないので山には適しておりません。
季節別に必要な衣類のグラフ
3.化学繊維良い理由とは?
よく山で見かける方がいらっしゃいますが、山では基本的に綿製品はNGとなります。一番の理由は、綿は肌触りが良くて、着心地が良いのですが、雨や汗などにより一度『濡れる』と山中で乾くことはございません。ずっと濡れ雑巾を着ているのと同じ状態になります笑 濡れは空気の25倍のスピードで身体を冷やします。そのような状況になったときにヒトの身体は自ら温めようとします。産熱の際には、身体中の血液がグルグルと回り身体を温めようとします。その際には使わなくて良い体力を使ってしまうのです。このような理由により特にベースレイヤーへの素材選びは『速乾性が最も高いポリエステル100%』を選ぶようにして下さい。
4.まとめ:日帰りハイキング編
今回は日帰りの低山ハイキング限定ということで、初めて山に行かれる方を対象にご説明をさせて頂きました。ハイキングがご自分に向いているかどうかが分らない方には初めてアプローチとしては良いかもしれませんね。但しご理解をして頂きたいのは、これらの服装は下界で着ることを前提として設計がされております。基本的に山の環境下に対してはどこのメーカーさんも対応はしておりませんのでご注意下さい。限られた範囲の中ですが、上手く使って頂ければと思います。