登山とお水~どんなスポーツドリンクが必要?
今回はハイカーにとって水分が如何に大切で、発汗により何が失われ、そして、それを補う上で、『どのようなスポーツドリンクを摂取すると良いのか?』ということを初心者ハイカーさんのためにご紹介を致します。(*一部安全登山講習会の資料ですので前回ご参加をしていない方は必ずお読み下さいませ。)
<目次>
1.水とヒト
2.熱中症;汗の成分とは?
3.適切な水分の補充量は?
4.スポーツドリンクの成分の比較
5.まとめ
1.水とヒト
元々私たち人間は水から生まれた生物です。実際に私たちの身体には約60%(成人)が水分で出来ております。お水は口の中に入ると、腸で吸収されて「体液」となって全身をたえず循環しています。この体液は栄養分を全身の細胞に届け老廃物を排泄し、身体を健康体に保つ為に新陳代謝をスムーズにしてくれます。体温が上がったときには、汗を出して、熱を逃がして、身体を冷やし、体温を一定に保つ役割があります。
このように水と人は切り離して考えることは出来ません。今回はハイキングをしている時に身体から『失うお水』・『補う水』・『お水の選択方法』についてのご紹介です。
<参照:大塚製薬 ポカリスエット>
2.熱中症;汗の成分とは?
熱中症とは外気温の上昇に伴い体温が上がり、体内の水分や塩分が失われ、体温の調節機能が働かなくなることをいいます。 暑い時やハイキングをしている時にかく汗は、体温調節の為に行われ、それを『温熱性発汗』といいます。主な役割は体内から産出された汗は体温の上昇を低下させる機能があります。その汗の成分の中には水分とナトリウムやカリウムやマグネシウムなどがあり、発汗時に失われてしまいます。
3.適切な水分の補充量は?
上記の表は体重(縦軸)と時間(横軸)に分けて必要な水分の表にしたものです。例えば体重が50KGの方は5時間歩くと1250mlの水分が必要なのが分かります。熱中症や脱水症は体重の2%の水分や塩分を失った時に起きるので、そうなる前に早めの水分補給を心掛けて下さい。喉が渇いたなと感じてから飲むよりも、常に潤っている状態を保つことが大切です。
4.スポーツドリンクの成分の比較
普段飲むスポーツドリンクは成分が異なるので、用途別に飲み分けることが大切です。
①ポカリスエット:治癒力や回復力を優先~健康状態を保つ
元々が大塚製薬さんは医療系の会社で『リンゲル液』という点滴用の製品を手掛けていて、その延長線上で開発がされたのがポカリスエットです。世間では『飲む点滴』といわれる由来はここにあります。よく病院でお医者さんがポカリスエットをオススメするのは元々が体液の代用液として扱われているからです。 発汗により失われた水分を補う為には、『イオン水』(=電解質・ナトリウム・カリウムの成分が多い)だと、身体の体液に近いので浸透圧が高く効果的です。身体が弱っていると感じる時には(熱中症や脱水症の時など)、栄養値や吸収力が高いポカリスエットを飲むと回復への効果は上がります。
②アクエリアス:運動性能がアップと疲労回復
人が生きて行く上で必要なアミノ酸は9種類あります。BCAA(Branched Chain Amino Acid の略)のバリンやロイシンやイソロイシンなどの3大必須アミノ酸(身体で作り出せないもの)の成分が入っております。この成分は筋肉のエネルギー代謝を高める作用があります。この三つのアミノ酸は登山中ではエネルギー源として運動性能を高めることとができます。アミノ酸系のスポーツドリンクは身体のパフォーマンスの向上に効果的です。また筋肉痛などの炎症効果を和らげることが出来ることや肝臓内の尿素回路の働きを高めて脳疲労の回復にも役立ちます。また下山後に摂取をすることにより損傷した筋繊維の回復が早まります。
<参照:アクエリアス>
5.<まとめ>
- ヒトの身体は60%が水で出来ていて常に身体を循環している
- 登山時は発汗により水分と塩分が失われる
- 体重の2%を失うと身体に影響を及ぼす
- 身体の回復を優先するスポーツドリンク(ポカリスエット・イオンウォーター等)
- 運動性能を上げるスポーツドリンク(アクエリアス・アミノバイタル・ラブスポーツ等)
今回はハイカーにとって『お水=スポーツドリンク』が如何に大切なのかということをご紹介させて頂きました。ハイキング時に摂取をするスポーツドリンクは、どれが正しいということではなく、今のご自身の身体のコンディションを踏まえた上で、目的に合った適材適所なものを選んで頂ければと思います。いずれのスポーツドリンクを飲むにしても身体に異変を感じる前の対応が必要なので、熱疲労への対策として小まめな水分補給を心掛けて下さい。それではこれからも安全で快適なハイキングを楽しんで下さーい。