山でスマホが繋がりにくいのはなぜ?その原因と活用術とは?
🔰初心者の方が登山やハイキングをしている時にバッテリーの消費が早かったことに驚いた方も多いかと思われます。下界と同じようにスマホを使って場合にバッテリーが自宅に戻る迄もたなかったことの経験のある方もいるかと。近年ではスマホを殆どの方が持っているのが現状です。移動の交通手段としてのルート検索や、山中ではカメラとして使うこと、またアプリによるマップとして使われる方も最近では多いですよね。今では山ではスマホは欠かすことの出来ないツールです。今回は『山のスマホの活用術』をご紹介します。
【目次】
1)山でのスマホの役割とは?
2)山で電波が届き難いのはなぜ?
3)スマホに電波が届かないとどうなるの?
4)電波の入りやすい場所とは?
5)予備のバッテリーを持とう!!
6)まとめ
1.山でのスマホの役割とは?
山ならではのスマホの主な役割は3つに分かれます。
<スマホの主な役割>
1)カメラ:歩いて来た軌跡を写真に収める楽しさ(登山中や下山後の分かち合いなど)
2)地図の活用:現在地の確認やコースが分かり目的地までのプランニングが出来る
3)連絡や情報収集のツール:下界の方(家族や友達や救助要請など)と交信が出来る。天候や交通状況などリアルタイムの情報を知ることが出来る
上記が主な山で使われる主なスマホの役割となります。下界では快適に使えるスマホも山間部エリアでは取り扱いに対して注意が必要です。その理由とは・・・
2.山で電波が届き難いのはなぜ?
基本的に山には電波塔があまりないです。その理由となるものは、山間部は人口が少ないことや、山は気象の変化が激しいので外的な要因(雨・風・雪・土砂崩れ・雷などの天災)により設置が出来る安定した箇所が限られているからです。山でのスマホは下界の基地局を経由して電波を繋がります。しかしながら、基地局から山までは距離が離れているだけでなく、木々や地形や気象条件による障害が生じて通じにくくなることがあります。特に谷や沢など渓谷の凹みの中や木々が生い茂る森の中などでは電波は遮られてしまいます。
ここで電波の基本的な習性をお伝えすると・・・電波は遠くなればなるほど、また障害物が多い程、弱まる傾向があります。一つの目安としては、晴天時であっても陽の当たらない場所(渓谷や谷)や展望のない場所では電波が入りにくいのが特徴です。当サークルのイベントにて分りやすい具体例は、川や沢や滝など凹みの中を歩く西沢渓谷です。
【参照:東日本最大の渓谷~紅葉の西沢渓谷】
3.スマホに電波が届かないとどうなるの?

あれっ!!もう電池がない
山の中を歩いている時には電波が届かない為に『圏外』という表示がされますうよね。この圏外の状態を続けていると、スマホは自ら電波を探そうとして通常の何倍もの作業をするようになりその結果、通常以上の電力を消費してしまいます。登山中にヤバい・・あれっ?!!バッテリーが持たないという方が希におります。初めて山に行ってスマホを使った時の、バッテリーの消費量に驚かれた方も多いでしょう。そんな電波環境が思わしくない山でスマホを使う時には・・・『圏外』の時の使い方としては、電波が入らない時や使わない時には、電源を切るか、もしくは『機内モード』にしてください。
機内モードであってもカメラを使うことも出来ますし、アプリの地図を見ることも出来ます。地図を使う場合には、事前に電波が通じる場所にてこれから歩くコースのエリアマップをダウンロードしておけば、電波のない状況下であってもGPSをオンすると使えます。電波が入っていない時と比べるとビックリする位消費電力を下げることが出来ます。
*【注意】電波の繋がらない場所では、アプリはマップ自体のダウンロードも出来ないので、事前にしておいて下さい。
個人的な体験談では山の中で約6時間の機内モードで使うと以下の消費で済みました。
・撮影のみだと20%位の消費
・マップのみを使うと30%位の消費
・両方使うと40~50%位の消費
<参考:SONY製のエクスペディア>
バッテリーの消費量はスマホの機種や経過年数や使用時間にもよりますが、通常の電波が入っている状態と比べると機内モードにするとかなりの消費電力の節減が出来るのは間違いございません。
4.電波の入り易い場所と入り難いとは?
基本的にスマホは基地局から遠くなると送信する電力は大きくなるので電池の消耗が早くなります。逆にデータ送信量が少ないと電池の消耗も遅くなります。

データ送信と電池消耗の関係
更に、これを踏まえた上で山間部の地形単位でいうと山頂や稜線(ピークとピークの間)や尾根などの『見晴らしの良い所』が比較的電波の入りが良いです。

電波の習性は直進性のある場合に『受信の感度』が上がる
電波は多数の反射(障害物への)を繰り返すと弱まる傾向があります。複雑に入り込んだ谷や沢や茂った森などを通るよりも、直進性のある場所(展望の良く開けた場所)を好む習性があります。また、有名な山には電波塔があることもありますし、山小屋にはWi-Fi環境がある所が多いので事前に調べて上手く活用して下さいね。
4-1:電波の届きやすさ順(良い → 悪い)
① 尾根・稜線(◎ 良い)

ベージュ色の部分が尾根(電波環境は◎)
開けていて遮るものが少なく、基地局の電波が届きやすい。
特に都市部方向が見える尾根だと安定して電波が入ることも。
② 頂上(◯ 普通〜良い)

見晴らしの良い山頂は電波が入りやすい
高度が高すぎて逆に電波が届きにくいこともあるけど、周囲が開けていれば届くことも多い。
都市部からの電波が「ギリギリ入る」場所も。
③ 渓谷(△ 悪い)

深い渓谷は電波を遮断しやすい
両側が岩や山に囲まれているため、電波が遮られやすい。
特に深い渓谷は圏外の可能性大。
④ 谷(△〜× 悪い)

谷や沢は四方が囲まれていて電波が入りにくい
渓谷ほどではないけど、谷間も電波の死角になりやすい。
低地に電波が届かず、山の影に入るとほぼ圏外。
補足:崖の裏・洞窟(× 完全圏外)
地形というより遮蔽物の例ですが、こういう場所は完全にシャットアウトされます。
地形 | 電波状況 | 理由 |
---|---|---|
尾根・稜線 | ◎ | 視界良好&開放空間、電波届きやすい |
頂上 | ◯ | 高度によるが、周囲が開けていれば入りやすい |
渓谷 | △ | 両側の岩壁で遮られやすい |
谷 | △〜× | 低地&影で電波が来にくい |
崖裏など | × | 完全に遮断される |
【注意】*雨や雪や風や霧(雲の中)などの気象条件が思わしくない場合には総じて電波は入り辛いのでご注意下さい。
地形単位だけでなく電波が入りやすいかどうかをマップ化してくれております。ドコモユーザーの方はご参考にして下さい。
ドコモ:サービスエリアマップ
5.予備のバッテリーを持とう!!
日帰りハイキングから宿泊を伴う富士山やアルプス登山などあらゆる環境においては、外部と連絡が取れる手段を確保することは大切なことです。その為にも予備のバッテリーを必ず持つように心掛けて下さい。いざという時、困った時のお守りみたいなものです。因みに機内モードもしくは電源をオフにした状態で充電をすると、クラウドやアプリなども同時に停止がされるので充電時間を大幅に縮めることが出来ます。
<オススメの充電器>
4~5回充電可能な大容量で残量表示が付いている。
6.まとめ:山のスマホの活用術
1)カメラや地図を使う場合には機内モードにする
2)スマホは電波の入りやすい尾根や山頂や山小屋(wifi)で使う
3)予備のバッテリーはお守り代わりに携帯すること
今回はスマホの活用術ということにフォーカスしてみました。山の中では下界と比べると電波が入り辛い環境があることを踏まえた上で、如何にしてスマホ本来のツールは失われなく、かつ消費電力を抑えることが出来るのか?ということをご紹介させて頂きました。私たちハイカーにとっては快適性と安全性の両輪が、継続した試みをしながら登山やハイキングを楽しんで下さい。
最後まで読んで頂き有り難うございました、こんな記事を書いて欲しいというインプレメンバーがいらっしゃたらお気軽に教えて下さいねm(_ _)m

電波塔が沢山ある美ヶ原