下山後の温泉
登山をした後の温泉は格別ですね。登山エリアの近隣には温泉地が必ずと言って良い程あります。山と温泉には関連性が高く種類も豊富です。下山後の至福のひと時を楽しんでもらう為に今回は温泉についてご紹介をします。
1.温泉の種類とは?
日本には14000座の山があり、国内の源泉の数は27000箇所もある温泉大国です。日本の温泉は大きく分けて火山性のものと非火山性のものに分かれております。
1)火山性温泉

火山性温泉のモデル図:岐阜温泉協会さん
2)非火山性温泉(浸水地下水型)
雨や雪が降りそれが地下に染みこみます。その地下水が断層の摩擦熱にて水温を上げます。地下は暖かく100Mごとに水温は3℃上がります。例えば、地上の1000Mまで掘削をすると30℃なります。もし地上の気温が20℃であれば、泉質の温度は50℃ということになります。

非火山性温泉のモデル図:岐阜温泉協会さん
3)非火山性温泉(化石海水型)
主に沿岸部エリアで多く見られる温泉です。海の温泉は塩辛いと思った方もいるでしょう。それは太古の地殻変動が関係してます。長きに渡り、海水が地中に閉じこめられて化石海水となります。それが断層の摩擦熱に温められることにより温泉となるのです。化石海水は自噴したり、ボーリングで汲み上げたりすることで、温泉として利用されます。
<豆知識>
温泉法では泉質が25℃以上のものと定められております。たとえ25℃以下であっても特定の湯質成分の塩素・硫化水素・炭酸ガス・鉄分など特定された19種類の成分が満たされれば温泉として扱われます。また鉱泉とは温泉と同様に湧き水であっても、水質温度が25度以下で特定する19の成分が達していない場合に当てはめられます。
2.アルカリ性と酸性の泉質の違いとは?
温泉の泉質は大きく分けて二つあります。アルカリ性はお肌にとても優しい作用があります。皮膚を溶かして柔らかくさせて、汚れや古い角質などをクレンジングしてくれますので『美容効果』が高いのが特徴です。それに対して酸性は、浸透圧が高く皮膚に刺激を与えることにより『自然治癒力』の効能があるのが特徴です。

アルカリ性と酸性のphの比較表
3.浮力・水圧・温度による効果
お湯に身体を浸すことにより物理的な作用があります。水中には空中とは異なる世界があります。
1)浮力
水は中のものを持ち上げようとする性質があります。温泉に入ると湯船で感じる体重は約9分の1になります。例えば体重が50キロの方であれば、温泉の中では約5,5キロになります。湯船で浮いている時間が長いと筋肉の緊張をほぐしてくれます。
2)水圧
温泉に入ると水圧が全身にかかります。水圧は血管を収縮するので血液が心臓に向かって押し上げられます。そして下半身の血行やリンパ液への循環が活発化をしますのでマッサージ効果が高いのです。湯船に使っている時に私たちに掛っている水圧は、何と500キロから1トンものあるのです。
3)温度
温泉は身体を温めてくれます。暖かい湯船に入ると血行が良くなります。ぬるめの温度(37度から40度)は、副交感神経が優位になり『リラックス効果』があり気を静めてくれるのです。また熱めの温度(42度以上)は交感神経が優位になり『心と身体を目覚めさせる』の効果があります。
4.転地効果
温泉街は避暑地であることが多く、日常とは異なる場所に行き環境を変えることを『転地効果』と言います。この転地効果は温泉に入るだけでなく、登山やハイキングなどを体験したり、現地で美味しいものを食べたり、綺麗なお花や景色を見たりすると、非日常の世界を触れることによりストレスから解放されます。このように温泉に入るということは『身体と心にもたらす効果』があるのです。

ニッコウキスゲの雄国沼にて