雨具を着て水溜まりで飛び跳ねる画像

<初心者ハイカーさんの為の雨具のお手入れの仕方>

 <目次>
1.登山やハイキング後の雨具の汚れ

 

2.雨具を洗わないとどうなるの?

 

3.どんな洗濯方法がオススメ?

 

4.超耐撥水力の復元方法とは?

 

5.まとめ

山には雨が降り易いという特性があります。雨具は下界の天気予報が晴天であっても常に持って行くことはハイカーの間では一般的となっています。実際に雨の時に登山やハイキングをすると雨具は濡れて、汚れてしまいます。今回は初心者ハーカーさんのために、雨具の汚れの落とし方や撥水加工の復元の為のお手入れの仕方についてご紹介します。

☆ 雨具のお手入れの仕方のご紹介

1.登山やハイキング後の雨具の汚れ|本当に洗って良いの?

雨具を洗うと撥水効果が低下をするということが巷ではよく言われてます。洗うと撥水効果が低下をするのは事実ですが・・・・結論からすると雨具は使ったら洗うべきです。その理由とは・・・雨の中を歩くと水たまりの泥が跳ねたり、また特に初心者の方はパンツの内股の下部分が擦れたりしますし、雨具を着ていると蒸れるので発汗により油分が雨具に付着します。このように雨具の汚れは大きく分けて外側のものと内側のものに分かれます。
 

1)外側の汚れ

・雨の成分の中に塵や埃などの不純物が含まれる
・自然物(泥や小石や葉っぱや小枝など)が付着する
・カビや微生物などの細菌などが増殖する

 

2)内側の汚れ

・皮脂や汗:毛や皮膚の分泌物や発汗による油分
・垢:皮膚の代謝により古い角質が入れ替わる
・衣類:雨具の下に着ている衣類等の摩擦による不純物

 
アウトドアフィールドにて外部の様々な自然環境に遭遇します。また登山中の運動と共に身体の代謝が促進されます。それらにより様々な不純物が雨具の外と内に付着をします。

汚れた男性のイラスト画像

2.雨具を洗わないとどうなるの?

もし仮に雨の中、山に行きそのまま濡れた状態で雨具を洗わないと確実に生地が腐敗します。基本的に毎日使うものでもないので、使った後にそのまま雨具入れに入れておくと・・・想像するだけでもゾッとしますね。使った後に洗濯をしないと、カビは増殖しますし、生地の表面に汚れが溜まり撥水性は低下します。表生地に水が染みて膜を作ってしまい、登山中の発汗(汗は体温を下げようとする作用がある)による空気の出口が塞がれてしまうので蒸れ易くなってしまいます。雨具(主にゴアテックス)には透湿性(=雨具内の蒸気を外に出す作用)があるとはいえ、蒸れが抜ける孔(穴)が塞がれてしまうので、内側で発生する汗や水蒸気が結露を起こす原因となります。
 
撥水効果がなくなった雨具の写真

【*注意*】雨具に付着した水滴が弾かなくなると塵や水分が吸収をしてしまい衣類に浸透をします。再活性化をするためのリコールのサインですので最メンテナンスしてあげて下さいませ。


 
雨具を使った後に、洗濯をしないと『水と空気の通り道』が塞がり、正常な機能が出来なくなってしまいます。
 
雨具は構造上、生地と生地を繋ぐために、主に二つの精巧(仕組みが細かく出来ていること)にて連結がされています。それは『シームテープ』と『糸』です。生地上の連結部分に不純物が混入すると雨具の密閉度は著しく低下をします。また雨具の中にマジックテープを使っているものも多いです。洗わないとメッシュ部分に埃や塵などの不純物が付着をしてしまいますと粘着力が低下してしまいます。それらを防ぐ為にも使用後の洗濯は必要です。特に汚れるのは、上着は袖下・襟足・背中(ザックを背負うので表と裏面部分は常に密着されている)でパンツの部分は裾下の内側部分(要手洗い)です。
 

3.どんな洗濯方法がオススメ?

1)雨具の洗濯方法は?

雨天時の登山やハイキング後の目立つ汚れに対しては、家庭用のスポンジなどで落とす必要がありますが(硬いタワシなどの使用だと生地を傷つけてしまいますのでご注意を)、基本的には家庭用洗濯機で洗います。40ºC 以下のぬるま湯もしくは常温で、少量の液体洗剤(ニキワックス:テックウォッシュ)で洗って下さい。粉末洗剤、柔軟剤、染み抜き剤、漂白剤の使用は生地の変形や変色や機能の低下の原因となるので避けて下さい。洗う際には全てのジッパーやベルクロを閉じるようにして下さい。雨具の生地との連結部分の隙間に負荷が掛るので浸水し易くなります。
 
洗濯機の中に二つのネットに入れている写真

上下別々のネットの中に雨具を入れると生地が傷まず型崩れもしない


洗濯時には必ずネットを使うようにして下さい。雨具には脱着や通気性を保つ為にジッパーなどの金具類が付いています。そのまま他の洗濯物と一緒に洗うと、引っかかって傷となってしまいます。雨具を上下別々のネットに入れて洗えば、型崩れを防ぎ、また他の衣類も傷をつける心配がありません。(雨具を洗う時には、一般衣類と一緒だと汚れが移る可能性があります。雨具(上下)やスパッツや防水加工がされている帽子など撥水加工がされている製品同士で洗うのがオススメです。)
 

2)オススメの洗剤は?

過度の汚れに対しては、事前にスポンジなどで落とす必要がありますが、基本的に家庭用の洗濯機を使います。そこで使うオススメのアウトドア用の洗剤はニキワックスさんのテックウオッシュFBE181です。
 
テックウオッシュFBF181の洗濯時の水と洗剤の割合図表

テックウオッシュFBF181の洗濯時の水と洗剤の割合図表


主な成分はお水で弱アルカリ性で純石けんを使っています。中でも興味深いのは界面活性剤(水軟化剤なども)が使われていることです。これもあまり聞き慣れない言葉ですが、簡単に言うと二つの異なる性質には必ず境界線があります。例えば、水と空気、水と油など異なる性質は混じり合うことなく、そこには必ず界面(=境界線)があります。この界面活性剤は、異なる性質を混じり合わせて、性質を変えて中和をさせることが出来るのが特徴です。特に登山やハイキングなどのアウトドア活動ですと、日常生活の汚れと異なり、その種類も多岐に渡りますが、広い範囲での汚れを落としてくれます。
 
テックウォッシュ【EBE181】TXダイレクトウォッシュイン【EBE251】

洗剤(右):テックウォッシュ【EBE181】|撥水加工(左):TXダイレクトウォッシュイン【EBE251】

4.超撥水力の復元方法とは?

1)雨具のDWRとは?

雨具を洗濯機で洗い汚れを落とした後にもう一つの作法が必要です。それは撥水加工の復元です。長年雨具を使っていると『使用や洗濯や保管』に伴い撥水性は低下をします。なぜならば・・・雨具(GORETEX認定を前提にだと・・・)にはDWRという特別な加工がされています。DWRとは Durable Water Repellentという略称です。その意味とは・・・
 

Durable =耐久性がある
Water =外の水滴を弾き&内側の水蒸気を外に出す
Repellent=アウトドア専用の撥水剤

 
と呼ばれる撥水加工が雨具には施されています。このDWR(耐久性撥水)加工の役割は登山やハイキング時に雨や雪で雨具が濡れても、この撥水剤が雨具の表面に付いた粒状の水滴と水滴同士が結合され外部に水滴を弾いて逃がしてくれる作用があります。
 

2)復元力抜群!!撥水加工TXダイレクトウォッシュイン【EBE251】

キャップを開けるとこの撥水剤は『ボンド』のような匂いがします。このボンドのような匂いこそがNIKWAXのTX-10という特許製品の真骨頂です。成分としてはEVA系ポリマーが使われています。EVAとはエチレンと酢酸ビニルを共重合したもので、あまり馴染みのない言葉ですが、日常生活だと水などを通さないサンダルなどによく使われています。この撥水剤は長い期間衣類に『粘着』をする特性があります。(車の運転をされる方はご存じかと思われますが、持続性のある撥水式ウインドウ・ウォッシャー液の作用とよく似ています。)そのため雨具に付く水分量を減少させ、乾燥時間も短縮をしてくれます。また雨具の表面からの水分の浸透を防ぐだけでなく、透湿性への保護膜は内側の蒸気を外へ発散をしてくれます。新品の雨具の作用を再現する力がこの撥水剤にはあるのです。
 

3)撥水加工の仕方

一度失った撥水性を復元させるために、雨具に付いた汚れを落とした後に、再度撥水コーティングをする必要があります。洗濯機にて汚れを落として脱水をかけた後に、この撥水剤を洗濯機に入れます。洗濯時よりも少し長い時間(洗濯機を一時停止にて数時間)水に浸すと撥水剤が生地に浸透をするので撥水加工は上がります。水量と撥水剤との比率があるのでご参考にして下さい。
EBE251の洗濯時の①衣類の数②お水の量③撥水剤の量の割合表

EBE251の洗濯時の①衣類の数②お水の量③撥水剤の量の割合図表

 
 

4)洗濯後の乾かし方とは?

撥水剤を入れて脱水を掛けた後に(ボンドの匂いが強い時には再度水洗いをして下さい。)日陰にて自然乾燥をさせます。干すときには必ず直射日光を避けて下さい。衣類の表面上が紫外線により劣化が早まり機能が低下をしてしまうからです。

5)熱処理の必要性とは?

『半乾き』=少し湿っていると思ったら、ここからが雨具の再生化への真骨頂です。
 
初心者の方のみならず、経験者の方も誤解をされている方が多いのですが、雨具の『製造課程の段階』にて生地自体が撥水加工がされていると思っている方が多いです。雨具の全般的に言えるのは、耐撥水性に『向いている』生地の製造がされて、DWR(耐撥水加工剤)の施工がされた後に市場に出ます。
 
撥水加工への復元としての仕方としては、半乾きの状態で熱処理をすることにより、外部生地へのコーティング層が均一化し易くなります。
 
簡単に申し上げますと・・・
 
雨具の生地上に付いたバラバラであった撥水加工剤の分子が、熱処理をされると均一に結合化されるので、撥水加工の層に厚みを増してくれるのです。この『耐』撥水性と言われる『耐』は、簡単に言うと『コーティング剤の厚み』を意味します。この層が厚くなればなるほど、雨具としての『撥水効果』は持続をするのです。

6)熱処理の方法とは?

アイロンをかける時には必ず当て布をして下さい。『弱』の熱量を選択します。裏も表も満遍なくアイロンを掛けてあげて下さい。乾燥機で乾かす時には、洗濯時と同様に全てのジッパーは閉めて、必ずネットを使うようにして下さい。乾燥機は回るので、雨具が乾燥機内が過度の摩擦を繰り返すと、コーティング層が剥がれてしまい易くなるからです。

5.まとめ 

これまでの大まかな流れをまとめてみると・・・

  • 雨天時の登山やハイキングでは雨具の外側だけでなく内側も汚れる
  • 雨具の使用後には内外の汚れを落とすために専用洗剤を使う
  • 耐撥水剤にて洗った後に熱処理をするとコーティング層が増す

洗濯と撥水加工の手順

①洗濯機で20分間洗う(過度の汚れは柔らかいスポンジを使用)
②軽く脱水を掛ける(3分以内)
③撥水剤を入れて再度20~30分間洗う(浸透させる為にやや長めでもOK)
④軽く脱水をする(3分以内)
⑤半乾きになるまで陰干し
⑥アイロンもしくは乾燥機(片方)で熱処理
 
実際にこのようなプロセスにて雨具が復元されて驚く方も多いでしょう。登山やハイキングをしている最中で雨が降ることはしばし有りますが、雨具が雨具としての機能を発揮しないと、低体温症に繋がります。『濡れ』は空気の25倍もの早さで身体を冷やします。
 
当サークルは初心者の方が殆どですが、経験者の方も安全で快適な登山をする為に定期的な雨具のメンテナンスをオススメします。雨具に付いた汚れを落とした後に、製造過程を辿ることが撥水加工の復元には最も大切なことです。雨でも楽しい晴れるともっと楽しいイベントをこれからもやって行きたいですね。長々となりましたが最後まで読んでくれて有り難うございました。

 
撥水加工により復元された雨具の画像

ニキワックス社による洗濯や撥水加工の方法

 

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