ゴアテックスの生地に付いた沢山の水滴画像

🔰超初心者ハイカーさんの為の雨具の選び方:ゴアテックス

初心者ハイカーさんにとっては安全な登山やハイキングをするための必須の装備の一つが雨具です。ここでは雨具の代名詞と言われるゴアテックスについて、どのような素材で作られていて、実際登山やハイキング中にはどのように役立つのか?ということを初心者ハイカーさん向けにご紹介をします。

<目次>

1.ゴアテックスとは?

 

2.ゴアテックスの原料とは?

 

3.ゴアテックスの構造

 

4.ゴアテックスメンブレンとは?

 

5.まとめ:インプレ式

 

  雨や風対策に必須アイテムのゴアテックスとは?

1.ゴアテックスとは?

ゴアテックス (Gore-Tex) は、アメリカのWLゴア&アソシエイツ社が製造販売する防水&透湿性素材の商標名です。元々ゴアテックスの素材はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン(Poly Tetra Fluoro Ethylene)と言われフッ素と炭素原子からなる樹脂に加工がされたものです。PTFE素材という聞き慣れない言葉ですが、日常生活でよく見られるものは『フライパン』などで使われています。
 
このPTFEは硬い素材として使われていましたが、ロバート・ゴア氏が独自開発をしたのはePTFEという素材です。「延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)」と呼ばれるものです。この『e』は英語の『Expanded』という意味で『伸びることが出来る素材(=樹脂)として拡張されたもの』。これは従来のPTFEと比べると、曲げたり伸びたりすることが出来る素材を開発されました。その素材を防水&透湿素材として試みとして生まれました。
 
このePTFEという樹脂は粘度質のような柔らかく、素材の中には沢山の気泡があります。驚くことに同じサイズのまま均一に10倍まで伸びることが出来るのです。ロバートゴア氏はこの樹脂は柔軟性や屈曲性のみならず、とても耐久性もあることが製造過程において判明したので、これを軽量かつ柔軟性のある雨具にしてみょうとして生まれたのが今日のゴアテックスです。
 
ePTFEを作ったロバートゴア氏

ePTFEを作ったロバートゴア氏|均一に伸びるゴアテックスメンブレンの素材

2.ゴアテックスの原料とは?

衣類の原料としては想像が付きにくいですが、ゴアテックスの原料はホタル石で出来ています。蛍石は鉱物の一種でフッ化カルシウムが主成分となっています。蛍石は加熱すると発光し、割れて飛び散る様子からその名前がつきました。ゴアテックスの材料となるこの蛍石の原産国は主に中国から輸入されているとのことです。このゴアテックスの原料となる蛍石を薬品を混ぜて溶かすことによりフッ素を抽出された後に素材化されます。
 
ゴアテックスの原料は蛍石であった。

ゴアテックスの原料は蛍石であった。

3.ゴアテックスの構造とは?

ゴアテックス製品の雨具は一枚の生地のように思われますが、実際には幾つかの層に分かれていますが、ここでは大きく三層に分けててご紹介をします。
 

1)アウター層:外部層

アウター生地はテフロン加工がされています。この生地に役割は、外気の雨や風を遮断や回避をすることが主な役割です。表面上は水を弾くように耐久撥水加工がされています。水に濡れると粒状な丸い水滴となります。バラバラな水の分子が、生地の表面上にて転がり、結合化がされ大きな水滴となり、それが外に逃げるように設計がされています。 
 

2)ミドル層:中間層(核)

ここがゴアテックスの中核と言われるものです。この生地は『ゴアテックスメンブレン』と言われるものです。主に二つの役割があります。ひとつは『防水性』です。雨具の表面上で弾かれなかった水分(撥水されなかったもの)をこの生地にて保護をしてくれます。もう一つは『透湿性』です。これは体内から発した水蒸気(主に汗や山の中の湿度)を外に出す作用があるのです。正しくゴアテックスの『肝』の部分と言っても良いでしょう。
 

3)インナー層:内部層

肌触りや着心地に快適性を与えて、ゴアテックスメンブレンを保護してくれている部分です。裏生地の汚れ、汗、塵からドライな状態を保つために作られています。
 
ゴアテックスの構造図①アウター層②ミドル層:中核『ゴアテックスメンブレン』③インナー層に分かれている図

ゴアテックスの構造図①アウター層②ミドル層:中核『ゴアテックスメンブレン』③インナー層に分かれている

<ワンポイント:撥水と防水の違いとは?>

撥水とは雨などの生地の『表面上=外部』に付いた水滴を外に逃がすことです。防水とは沢山の水滴が連なり層となっても、中間部(ゴアテックスメンブレン)で保護がされ『裏地』にまで浸透をしないことを言います。
 

 5)山と風の関係:実際に身に着ける頻度が多いのは・・・

実際に山に行くと、雨よりも風対策や寒さ対策で雨具を着ることが多いです。山は周りを遮る物が少ないのですし、上昇気流により風が吹き抜けやすいという特性があります。以下は伊吹山の平均風速を月別にまとめたものです。
標高:1377Mの伊吹山の月別平均風速

標高1377Mの伊吹山の月別平均風速:過去10年間の統計データ(気象庁より)


風速1メートルに対して体感温度が1度下がります。通年で山は平地と異なり遮るものが少ないために、風が吹きやすいという特性があります。雨が降っていなくても行動中には他の衣類と比べると発熱効果は低く、低温時や風のある中でも程よい保温効果があるのでアウターとしてはとても重宝をします。これらの理由により常時雨具は天候にかかわらず持つように心掛けて下さい。

 4.ゴアテックスメンブレンとは?

ここで勘が良い方であれば疑問がある方もいらっしゃるでしょう。外部からの水は通さないけれども・・・体内の水蒸気は外に出て行く?・・・なぜ?どうしてそうなるの?そう思われた方も多いかと思われます。実は物理的に水滴となる為には、水分子1個分の大きさが約0.38nm(ナノメートル)のサイズが必要となります。あまり聞き慣れない言葉ですが・・・・簡単に言うと・・・
 
汗などの水蒸気は外に出て行き、外部からの水滴は生地上に留まるイラスト

汗などの水蒸気は外に出て行き、外部からの水滴は生地上で転がり結合される


 
1ミリ=1000000ナノメートル (;゚ロ゚)
 
百万ナノメートル=1ミリとは何とも壮大な世界に・・・
 
ゴアテックスメンブレンという中核を伴う素材は1インチ(=約2.54cm)四方に対して、90億個の孔(=穴)があります。水滴に対しては約1 / 20,000、水蒸気に対しては700倍のサイズの孔(=穴)で作られているのです。
 
とても分かりやすくゴアテックスの特性を言うと・・・
雨などの水滴は『大きい』ので通路を塞いでくれるから身体が濡れることがないが、
それよりも『小さい』水蒸気の通路はあるからウェア内の蒸気(主に汗や山中の湿度)は外部へ逃げ易いという構造となっています。
 
実際にゴアテックスメンブレンを顕微鏡で見ると毛細血管のようにきめ細かい繊維で出来ていて、その隙間に無数の空間があるのが分ります。
 
顕微鏡で見たゴアテックスメンブレン

顕微鏡で見たゴアテックスメンブレンは毛細血管のようにきめ細かい繊維で出来ている

 5.まとめ:インプレ式

ゴアテックスの機能としては、外部からの水滴は通さないけれども、ウェア内の蒸気は外に逃がすという・・・この相反する構造、つまり外からの水分は弾きと中の水蒸気は外に逃がすという個別の機能こそが、ゴアテックスの醍醐味ですね。濡れと蒸れ防止のみならず風にも対応がされているので山中では私たちハイカーに快適性を与えてくれています。
 
今では世界中の雨具の代名詞となっている『ゴアテックス』には様々な工夫が私たちハイカーの為にされていることがご理解して頂けたのではないでしょうか。しかもこれだけのハイスペックなのに、ジャケットでは平均300mg、パンツでは平均200mg、上下共にしてもペットボトル約1本分の重さに軽量化がされています。気象変化が著しい山岳エリアでは私たちハイカーへ雨と風を遮ってくれるのは『ハイカーの身を護るツール』として必須アイテムです。
 

・防水性:外部からの雨などの濡れからハイカーの身を守ってくれる
・透湿性:身体から発した蒸気(汗など)は外部へと逃がしてくれる
・防風性:山は平地と異なり、通年で風があるから体温調節がし易い 


低山のハイキングからアルプス登山まで、安全登山の為にもあると必ず重宝をする装備です。天候にかかわらず、常時携帯をすることをオススメ致します。これからも安全なハイキングや登山を楽しみましょう。最後まで読んでくれてどうも有り難うございました。

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