森の治癒力とは? ~初心者ハイカーが出逢う森の不思議

 
初めて歩く森の中のハイキング、その中には自然治癒力で満ち溢れています。今回は私たちハイカーに森がもたらしてくれる恩恵に迫ります。

森は自然治癒力で満ち溢れている

山に行くと心身共のリフレッシュが出来ますよね。前回は登山やハイキングがもたら身体に与える影響のご紹介をさせて頂きました。今回は山を歩くとどんな『癒しの効果』があるのかということをインプレ式にてご紹介をします。<参照:インプレ式:登山の健康
 

 森の香りの正体とは?

 1.森の香りがもたらす恩恵

未経験者のハイカーさんが初めて森に入ると下界のウォーキングとの違いを感じるでしょう。森の中に入ると空気が澄んでいて心地よいと感じる方は多いです。その心地良さがリラックスをさせてくれます。
 
森には独特の香りがあります。森の匂いは主に土、草、木、苔などで作られているのですが、その大部分の香りの正体は『フィトンチッド』と呼ばれるものです。『フィトンチッド』の由来はロシア語でフィトン=植物 チッド=殺す・・・と何とも殺伐としたものですが、実はこの殺伐としたものに癒しの効果があるのです。
 

2.フィトンチッドとは?

フィトンチッドは樹木から出る揮発性成分の香りです(木は沢山の水分を蓄えて、それを外部に発する時にでる成分・・・木は葉っぱから光合成をして呼吸をしてその蓄えを森に発してます)。木は生まれてからなくなるまで動くことが出来ません。外敵であるカビや微生物というものは光合成をする上で天敵となります。その有害となるものが一本の木に対して攻撃をすると、その木は自らの身を守る為に『フィトンチッド』を発し外敵から身を守ります。近くの木々は攻撃された木が発した『フィトンチッド』を受信をして、そして自らを事前に防御をする為にフィトンチッドを発します。このような外圧に対して動けない木々はこのように他の木とコミュニケーションを取り合いながら、自らの身のみならず他の木々をも守っているのです。木々はそれを繰り返すことにより森の中がフィトンチッドで満ちあふれていきます。これが森の香りの正体です。

 
最もフィトンチッドを発する檜の木

3.フィトンチッドの効果

わたしたちが森の中でフィトンチッドを吸うと、脳細胞にアドレナリンの発症を抑えて、ストレス性の制御をするホルモンの分泌がされます。そこで初めてリラックス効果を高めることが出来るのです。それだけでなく抗菌、防虫、消臭も高く、最近の研究ではがん細胞やウイルス性に対しての免疫効果が向上することが判明しました。それがNK(ナチュラルキラー)細胞です。自然の中で空気を吸うことにより、体中の悪い部分をパトロールする細胞が増え、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ次第攻撃するリンパ球が森の中で過すと増えるのです。

4.癒しの効果(『1/fのゆらぎ』と光の三原色)

4-1「1/fのゆらぎ」

森は自然音で満ちあふれています。川や沢や滝のせせらぎや雨音,鳥のさえずり,虫の鳴き声、通り抜ける風の音と奏でる葉っぱや枝などがあります。森は各生命体の自らのタイミングで音を奏でているのです。この不規則な、自然界が独特に持っているリズムを「1/fのゆらぎ」と言います。
 
例えば、森の中に入り、沢筋を歩いていると川のせせらぎが聞こえます。そこに風が吹き抜けると葉っぱ同士が重なり音を奏でます。そして遠くではカッコーが自分のリズムで鳴いています。この各生命体がそれぞれが奏でる不規則性なタイミングもリズムも音域も異なりますが不快に感じることはないですよね。このリズムに包まれるとまるで揺りかごの中にいる赤ちゃんのように、気分が和らぎ,快適感や安心感を森はハイカーに与えてくれます。それが『1/fのゆらぎ』の効果です。

『1/fのゆらぎ』新緑のモミジ

4-2 緑に基づいた光の三原色

人の目は色を捉える時に、光を通して概ね赤・青・緑の三つの色に無意識に識別をしています。
 
森の中は年間を通して見みると3分の1の季節は緑で囲まれています。この緑色は、広葉樹などの新緑の緑、針葉樹などの緑、草や苔、エメラルドグリーンの泉、光や影による変色した緑と同じ色でも多種多様な緑色が自然界にはあります。
 
どうして緑色が人にとって心地良いのかを考察をしてみると、私たち人間の祖先は狩猟をする時に獲物を捕らえます。落葉期でない緑の茂る時期は見通しが悪く、獣が隠れる場所が多いので、ハンターにとっては最も獲物を探しづらい季節です。緑に包まれた世界では集中をして見ている時間が、赤や青色と比べると長いです。また他の赤や青と比べると、階調が2倍以上もあるので脳が活発化をします。
 
哺乳類としての種を維持する為の狩猟の感覚が、やがてベースを作り、やがてそれが発展をして私たちに本能としての『癒しの緑色』を作り出したのではないでしょうか。だから緑は人間にとって最も見やすい色であり,目に優しく気持ちを落ち着かせてくれます。
  

5.元々私たちは・・・

古来より私たち人間は人工的な環境で生活をしていないのです。私たちには長年自然の中で暮らして来たDNAが組み込まれています。(霊長類の歴史は一億年前まで遡ります。)社会生活を営む為に殆どの方は自然から離れた生活をしています。山や海など自然の中を歩くということは本来私たちが持っている原始的な部分に触れ合うことではないのでしょうか。それは私たちの身体に生まれながらに授かったものです。自然に触れれば無意識に懐かしさ=『自然な自分の姿』を感じても不思議ではなく、むしろ自然の一部である私たちにとっては、それ自体が自然の摂理なのかもしれません。
緑色の森の中で狩猟をしている原始人

 
特に長年に渡り、継続をして山に行く方(特にリピーターの方)は、下界生活のストレスとは切り離すことは出来ません。そこには生きて行くための「義務」や「責任」という世界があるから私たちの日々の生活が成り立ちます。(*安全登山の面ではこの二つは必要です。)限られた休日に森の中に入り素朴に自然に触れるということは、私たちが持つべき「時間・空間・交流」という本来在るべき『軸』を取り戻すということではないでしょうか。そこに自然と触れ合う価値があるような気がしております。
このブログを最後まで読んで頂いている方々には何かしらの兆しの『サイン』があって、それと同時にこのブログを書く為に概要を決めて、資料を集め、消化をしてかみ砕いて、自分のことばで皆さんにお伝えをしているボク自身にも同様なことが言えるのです。
今後も当団体の活動としましては、森の中でリフレッシュをしたい、癒されたい、充実をした休日を過したいと思う方同士で、触れ合いながら、そして、分かち合いながら、をこのサークルの『 癒しの軸 』を今後も皆さんと育んで行きたいと思います。長々となりましたが、最後まで読んでくれて有難うございました。
 
 
霧や太陽により癒されている風景の森